ベルセルク大辞典

ストーリー(黄金時代篇)

黄金時代篇Ⅰ 覇王の卵

暗黒の時代。富と領土をめぐって百年の長きに渡る戦争が続く荒廃の地で、母親の亡骸のもとに産み落とされていたガッツは、己の剣のみを頼りに戦場を渡り歩く傭兵として育つ。酷薄な養父を間違いからあやめてしまったガッツは、自らの生きる道を探し続けることになった。周りからは、その「死」をもいとわぬ戦いぶりで注目されるガッツだが、常に他者を拒絶して生きていた。

ガッツはある時、戦場の猛者たちの間でも「敵に回したくない」と畏怖される傭兵集団“鷹の団”と出遭う。彼らを統率していたのは類いまれなる強さと美貌を兼ね備えた自分と同じ年頃の青年グリフィスだった。自ら挑んだグリフィスとの勝負に敗れたガッツは、その敗北と引換えに鷹の団の一員となり、数々の激戦をくぐり抜ける中で仲間の信頼を勝ち取っていく。が、そんなガッツを鷹の団唯一の女剣士キャスカだけは快く思っておらず、ことあるごとに衝突を繰り返していた。

やがて鷹の団は、この世界の二大大国のひとつであるミッドランド王国の正規軍にのし上がり、「自分の国を手に入れる」というグリフィスの夢の実現に近づいていく。そして、ある攻城戦でゾッドと呼ばれる魔物に遭遇したガッツは、自分のために命を投げ出したグリフィスに窮地を救われ、彼との絆をかけがえのないものに感じ始める。仲間から真の友へ。それは孤独に生きてきたガッツが初めて抱いた自分以外の誰かを欲する強い気持ちだった。

ガッツはグリフィスの「夢」や仲間たちとの「絆」への想いを深くし、自らの戦いに理由をもつことなく、ひたすら戦い続けた。ところがある夜、ミッドランド王女シャルロットに語りかけるグリフィスの本心を聞いてしまう。
「私にとって友とは、自分が生きる理由は自らが定める、そんな“対等な者”だと思っています」
その言葉に大きな衝撃を受けるガッツ。自分がグリフィスの夢の中で、その一部分しか過ぎないことに気づかされたガッツはある決意をする…。
二人の運命が大きく動き始めるのだった。

黄金時代篇Ⅱ ドルドレイ攻略

「決して他人の夢にすがったりはしない。自分の生きる理由は自らが定める。私にとって友とはそんな"対等の者"だと思っています」

鷹の団入団から3年、グリフィスの夢をともに追うことを使命としてきたガッツにとって、グリフィスの口からこぼれたその言葉は衝撃だった。自分はグリフィスにとってどんな存在なのか、グリフィスは自分にとってどんな存在なのか。激しく葛藤するガッツをよそに、ミッドランド王国と敵国チューダー帝国との百年戦争が最終決戦に突入する。

鷹の団飛躍の好機とみたグリフィスは国王に鷹の団だけで出陣することを進言。敵3万、味方5千という誰もが無謀と確信した戦いは、しかしグリフィスの作戦によって奇跡のような勝利を収める。そして、歓喜に湧く王国に凱旋した鷹の団は最高位の軍へと昇格し、千人長全員に騎士の称号と爵位が与えられる。流れ者の傭兵集団が一国の英雄になった瞬間だった。

華やかな光の中で、ガッツは独り鷹の団を離れる。彼の夢に埋もれるわけにはいかない-ガッツはそう決意したのだ。
だが、そこにグリフィスが立ちはだかり、剣を抜く。
「あの時言ったはずだ。お前は俺のものだとな」。ガッツもまたそれに応え、剣を抜く。
「笑って、じゃあなってわけにはいかねえのか」。
ガッツ入団のあの日のように再び交錯した二本の剣が切り裂いたのは、彼らにとって最も輝かしき日々だった。

栄光を極めた「鷹の団」もその春を終えようとしていた____。

黄金時代篇Ⅲ 降臨

ガッツが鷹の団を去り、グリフィスが反逆罪によりミッドランド王国に囚われ、1年が経つ。
ミッドランドの救世主と讃えられたのも束の間、追われる身となった鷹の団は、グリフィス奪還の機を窺っていた。そんなある夜、シラット率いる暗殺集団バーキラカが鷹の団を襲う。女首領として団をとりまとめていたキャスカが狙われ万事休すと思われたそのとき、ガッツが現れ、シラットを撃退するのだった。

「おまえがすべて、壊した」
グリフィスのことも鷹の団のことも今を何も知らないガッツに、キャスカの声が震える。グリフィスにはガッツがいなければダメなのだ、と泣き言を吐き出しながらその裏腹でキャスカはガッツと身も心も結ばれてゆく。
グリフィス幽閉の地はウインダム城最古の建造物"再生の塔"。王女シャルロットの協力によって、ガッツ、キャスカたちはその最下層の牢獄にグリフィスを見出す。だが、そこにあったのは、拷問の末に両手両足の腱を切られ、舌を抜かれた痛々しい彼の肢体だった。
見る影もないその姿に、団長の帰還を待ちわびていた鷹の団に動揺が走る。そして、グリフィスも自分がガッツとキャスカに同情された瞬間を目の当たりにして堪らず身体を引きずる。グリフィスの絶望に、覇王の卵ベヘリットが反応したのはそのときだった。失われたはずのそれが、グリフィスの手中に戻り____。

幕を開けるのは、216年に一度の宴の刻。太陽が消え、闇に覆われんとする地に異形が溢れ出す。ベヘリットの叫びが波動となり現れた禍々しき異空間に、守護天使ゴッド・ハンドが降臨。異変に惑う鷹の団を尻目に、「我らが眷族」とゴッド・ハンドが示すグリフィスのための降魔の儀が進められていく。天空の城を目指し、頂に屍を積み続け、何もかもを失い、ただ朽ちようとしているグリフィスが最後に見出すのは、どのような道か。

「捧げる」
彼の心の声が響き、天に届く。壮麗なまでに凶暴な悪夢が爆ぜ、おびただしい数の使徒が鷹の団の者たちを喰らう。
それは、5人目の守護天使の誕生とあらゆる闇が光を凌駕する時代のはじまりだった。